介護の悩みで一番大きいのは「排泄」に対するケアだと考えています。例えば公共交通機関、バスとか列車に乗っているとします。その中の見知らぬ乗客から尿や便の臭いが漂って来れば、その人の近くには寄りたくないですよね。不穏な雰囲気と言うか通常では考えられない状況ですから。
ですが介護をする側の立場になれば、臭いとか汚いとか言っている余裕はありません。本人に排泄と言う行為を無事に終わらせる能力が無いから、介護の必要性があるわけです。漏らした尿や便をきれいに取り除いてあげる必要があります。
さらに問題は難しくなります。乳児(生まれて間もない子供)の場合、尿や便を漏らしても不思議ではなく、親(保護者)は、それなりに察知しておむつを交換をします。それに対して乳児は抵抗する事はありません。抵抗するという意味さえ分からない頃ですから。
ところが介護が必要になった人間と言うのはそれなりに年齢を重ねていますから誇り「あるいはプライド」と言う意識が残っています。ですので介護する立場から見ると、人としての尊厳を十分に考慮する必要があります。
簡単に言えば「尿を漏らした」とか「便が出た」と言う排泄行為を他人に知られたくない、と言う気持ちがあるので、他の人に介護されたくないという気持ちに変わるのです。簡単に言えば事実を否認したくなるわけですね。
ですが一般的な常識から言えば尿や便の臭いがする人が自宅以外の場所を歩き回るのは非常に迷惑をかける訳ですよ。この「尿や便の臭いがする人の近くには寄りたくないという意識は」最初に書いた事ですが改めて考えると、他人に大きな迷惑をかけている行為ですよね。
だから介護する人は適切な排泄が行えない人に対しては適切に対処しなければならない。だけど本人は嫌がるので、上手な対応が出来ないという悩みに膨れていくのです。誰でも同じでしょう「おむつを替える≒性器を他人に見せる」と言う意味でもありますからね。